
浅草はいつも賑やかです。特にここ数年んぽ間に、東京が一大観光地となり、江戸の面影を残す浅草はなかなかの人気です。新宿・渋谷・池袋といった若者の多い町とはひと味違い、そうかと言って銀座とは大きく異なります。地方からやってくる人が、外国人と入り交じって浅草寺への参道、仲見世を賑わせています。
浅草寺の境内からも東京ス カイツリーが見えるようになりました。隅田川を挟んではいますが、吾妻橋を渡って歩けば15分ほどで着きます。橋のたもとには、隅田川の観光船が発着します。すっかり綺麗になった隅田川からの東京もまたいいものです。東京新名所は浅草の賑わいを増すことになりそうです。
少し寂しかったのは、浅草ロックと呼ばれる映画・演劇街です。ロックへの道には浅草育ちの芸人などの写真が飾られ、雰囲気もあるのですが、ロックの通りへ出ると、落語の演芸場は健在ですが、後は惨憺たる有様で、映画・演劇の町から“パチンコ屋の町”に変貌しています。
こういう状況では落語に出掛けないのなら、ロックへ行ってもしょうがないな、と思いました。いつまでも懐かしの浅草で有り続けるのは無理でしょうが、古い町だからこそ浅草なのです。ああもう一つ、気前よく、生きのいい江戸っ子が多いはずですが、撮影禁止と書いた店が幾つもあります。
写真を撮られて困るようなことはあるまいに、どうしてこんなことになったのでしょう。観光客の誰しもがデジカ メや携帯電話でバシバシ写真を撮りますが、それが気にくわないのでしょうか。となりに同じものを売っている店があり、そこは撮影も自由なのに、ある扇子屋のおやじは、カメラを見ると目の色を変えて腕を振り回し「駄目だ駄目だ。そこに書いてある」などと言うのは笑止でした。
仲見世には招き猫なども登場して盛り上がっています。浅草と言えば観音様、観音様と言えば仲見世を通って行くのが正規の参道。昔から参拝客の多い社寺仏閣は参道に店が並ぶのが常です。
ちょっと横にそれて伝法院通りを歩いていたら、アレ珍しや、着物姿の若い人が2人歩いていました。吾妻橋から少し両国寄りに、高級な草履を売る店がありました。やはり浅草だな、と思いました。こういう店もまだ生き残っているのです。
仲見世で思い出しました。参道での店の多くは寺社仏閣に関連するので、それなりの店や飾り付けが多いのですが、不思議に思うのは、明治神宮です。このお宮、明治神宮の表参道ほど、珍奇なものは世界でも希有でしょう。
何故かと言うと、明治神宮・表参道なのに、暮れになるとクリスマスのイルミネーションとジングルベル。高級店が建ち並び欧州ブランドのファッションが一杯なのです。明治天皇の御霊も驚き呆れる日々をお過ごしされていることでしょう。ま、商売だからとはいうものの、キリスト教会前の通りでおとり様の熊手を売ったり、羽子板、鏡餅を売る人はありません。宗教に無関心な人々が多く、宗教より商売というわけでしょうが、考えてみるともう「表参道」と言う名前はもう止めた方が良いと思いますよ。
かっぱ橋商店街へと足をのばしました。キッチン用品ではこの町以上にまとまって売っているところはないでしょう。鍋釜茶碗包丁…。何でもあります。寿司もスパゲティも本物そっくりの展示用に作ったものを売ってます。
何も買う気がなくても、道具を見て歩くだけで楽しめます。外国人には大人気です。
かっぱ橋の道具屋さんを覗いて歩くいて、まず飽きることはありません。同じものを売っているように見えても、少しずつ商品は異なります。
ちょっと一休みしようと思って、適当な店を探しても、ありません。看板や提灯を売る店もあるので、食べ物屋のように思うのですが、看板や立て札、提灯まであらゆる食べ物屋の物があります。
和食・洋食・中華・そのほか何でも調理用具は当然のこと、看板まであるのです。椅子も机もさらに今夜から炭焼きの焼肉屋を開店しようと思えば、七輪から備長炭も売っているのです。割り箸、スプーン、シャモジ、レンゲ、ナイフにフォーク、思いつくものは何でもだし、思いつかないものも「ある、ある」と嬉しくなります。
商店街のある一帯は昔湿地 帯で、土を盛って安定させる造成工事をしたそうです。埋め立てを発案した人は、河童にも人気があったようで、大変苦労しているのを見かねた隅田川の河童が、夜な夜な大挙して手伝いに来て、仕事ははかどったというのです。
商店街の人たちが河童の話を伝えながら、その記念にしようと作った河童の像です。なぜ金色かは分かりません。
食べ物も浅草は豊富です。鰻、どじょう、寿司、蕎麦、天ぷらなど何でもあります。一部に全国チェーン店もありますが、多くはそう大きくはない店です。創業が江戸時代からの店もあって、なかなか風情もあります。
値段の方も様々ですが、今時、キャッチバーではあるまいし、大げさにぼられるようなことはありません。雷門の近くに総合案内所があるので、そこで尋ねれば色々と教えてくれます。地元の年配者がいるので、大概のことは分かります。

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