保元物語

 保元物語は鳥羽法皇の崩御をきっかけに、保元元年(1156年)に起こった保元の乱を中心に、靜かだった世の中が大乱に巻き込まれて行く様子を描いている。崇徳院は天皇の位を近衛天皇にに譲ったが 、近衛天皇が若くして亡くなると「当然、院の子・重仁親王が位に就く」とお考えだった。しかし、後白河天皇が誕生。皇位継承を巡って、朝廷は崇徳院と後白河天皇が、摂関家も藤原忠通と藤原頼長が対立した。

 これに武力を持った武士の世界も源氏が源義朝と源為義、平家も平忠正と平清盛が陣営を別にした。戦いは後白河側が勝ち、崇徳院は讃岐に流された。その後も平治の乱、平家の滅亡、源氏・源頼朝の支配と世は移った。平家物語の背景には、保元・平治の乱が同時進行で重要な役割を占めている。

 保元物語の主役となるのは、源為朝だが、為朝の父・為義は敗者となった。清盛が表舞台に登場するのもこの物語から。保元物語、平治物語、平家物語、承久記は“戦記物”のシリーズだし、武士の世の成立、天皇家の混乱などを描き出している。
平家物語を現代文にしたので、平治物語に手をつけた。

 平家物語も写本によってかなりの違いがあるし、源平盛衰記とも大きく異なったり、欠落するところがお互いにある。保元物語は「日本古典文学大系」(岩波書店)でやっているが、同じ岩波文庫の保元物語と筋は同じだが、内容ははかなり異なる。解説を読んでもどちらが正しいなどとは言えないようだ。書き継がれ、語り継がれた、物語の面白さと言うべきか。

 素人の遊びでやっているので、訳の誤りもあると思うけれど、あちこちから絵を集め、様子がわかるようにしました。楽しみで読み、見ていただければ幸いです。

    
     保元物語 上

   保元物語 中 
  保元物語 下
 後白河院ご即位の事

 法皇熊野御参詣並びに御託宣の事

 法皇崩御の事

 新院御謀反思し召し立つ事

 官軍方々手分けの事、並びに親治等生け捕らるる事

 新院御謀反露顕並びに調伏の事付けたり内府の意見の事
 
 新院、為義を召さるる事

 左大臣上洛の事付けたり着到の事

 官軍召し集めらるる事

 新院御所各門々固めの事付けたり軍評定の事

 将軍塚鳴動並びに彗星出る事

 主上三条殿に行幸の事付けたり官軍勢汰(せいぞろ)への事

 
 白河殿へ義朝夜討ちに寄せらるる事

 白河殿攻め落とす事

 新院、左大臣殿落ち給う事

 新院如意山に逃げ給う事

 朝敵の宿所焼き払う事

 新院御出家の事

 勅を奉じ重成新院を守護し奉る事

 関白殿本官に帰複し給う事付けたり武士に勧賞を行はるる事

 左府の御最後付けたり大相国御嘆きの事

 
 謀反人各召し捕らるる事

 重仁親王御出家の事

 為義降参の事

 忠正、家弘等誅せらるる事

 為義最後の事

 義朝の弟共誅せらるる事

 義朝の幼少の弟悉く失わるる事

 為義の北の方身を投げ給う事

 左大臣殿の御死骸実検の事

 新院讃州に御遷幸の事

 左府の君達並びに謀反人各御琉の事

 大相国遠上洛の事

 為朝生け捕り遠琉に処せらるる事

 新院血をもって御経の奥に御誓状の事付けたり崩御の事

 為朝鬼島に渡る事並びに最後の事